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スペインの古都「トレド」の中世の面影が残る旧市街を散策

「トレド」は、スペインのマドリードから南西約70kmに位置する、カスティーリャ=ラ・マンチャ州の州都です。
三方をタホ川に囲まれた岩山に築かれた天然の要塞都市として、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教の文化が融合した建造物が残り、トレド旧市街全体が世界遺産として登録されています。
「トレド」には、スペイン・カトリックの総本山である「トレド大聖堂」、エル・グレコの傑作「オルガス伯爵の埋葬」が飾られた「サント・トメ教会」、現在は軍事博物館となったローマ時代の宮殿「アルカサル」など見所がたくさんあります。
今回はそんな「トレド」におでかけしてました!

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トレド展望台「ミラドール・デル・バジェ」から眺めるトレド旧市街

「もしスペインに1日しか滞在しないなら、迷わずトレドへ行け」という格言があるほど、トレドは魅力的な街として知られています。
そんなトレドの街の全景を、タホ川を挟んだ小高い山にある展望台「ミラドール・デル・バジェ」から望むことができます。
展望台へは、トレド駅から観光バスか、旧市街のソコドベール広場から出ているソコトレン(zocotren)という列車型のミニバスに乗って行くことができます。

マドリードからバスに乗ってトレドへ向かいます。

マドリードからバスで南西に1時間ほど進むと、トレドの旧市街が見えてきました。
トレドは、かつてスペインの首都として栄えた古都で、旧市街全体が「古都トレド」として世界遺産に登録されています。

軍事博物館の「アルカサル」とアルカンタラ橋が見えます。
アルカンタラ橋は、古代ローマ時代からあったそうで、北進するイスラム教徒との戦いにおいて破壊・修復を繰り返したため、様々な建築様式が入り混じっているそうです。
入り口の門にはハクスブルグ家の紋章があり、塔にはカスティーリャ王国とレオン王国の紋章が刻まれているそうです。

トレドの旧市街を囲むようにタホ川が流れています。
展望台「ミラドール・デル・バジェ」は、旧市街からタホ川を挟んだ標高548mの小高い山の上にあります。

坂道を進んで展望台へと近づいていくと、トレドの旧市街が見渡せるようになってきました。

展望台「ミラドール・デル・バジェ」に到着しました。
タホ川の渓谷の向こうに、かつて堅牢な城塞都市であったトレド旧市街の全景が望めます。

「トレド大聖堂」の鐘楼や、軍事博物館「アルカサル」の建物もよく見えます。

中世の美しい旧市街がタホ川に浮かぶように佇み、かつての栄光が今に残る美しい景色です。
晩年をトレドで過ごした画家のエル・グレコもトレドの街並みに魅了され、「トレド眺望」という作品を残しているそうです。

夜間には、街の灯りでライトアップされた旧市街を一望することもできるそうです。

トレドの伝統工芸品「象嵌細工(ダマスキナード)」の工房を見学

「象嵌細工(ダマスキナード)」は、イスラム文化の工芸技術を受け継ぐ古都トレドの伝統工芸品です。
銅版に金や銀の糸で象嵌細工を施す技術は、イスラム教徒から伝えられたもので、シリアのダマスカスに因んで「ダマスキナード」と呼ばれているそうです。

展望台からバスで旧市街へと向かいます。

5つのアーチを持つ石橋「サン・マルティン橋」が見えます。
サン・マルティン橋は、トレドの西側に位置する、14世紀のゴシック様式の橋です。

「象嵌細工(ダマスキナード)」の工房を見学し、ショップに来ました。
象嵌細工は、花などの繊細な柄が描かれた美しい工芸品です。

ショップには、日本刀も陳列されています。

中世の騎士の鎧も飾ってあり、見るだけでも楽しめます。

世界遺産のトレド旧市街を散策して「サント・トメ教会」へ

トレドは、旧市街全域が「古都トレド」として、1986年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。
中世の面影が残る古都トレドの旧市街を散策して、巨匠エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」が展示されている「サント・トメ教会」へと向かいます。

旧市街へ向かっていると、列車型のミニバス「ソコトレン」が走ってきました。
ソコトレンは、町の中心地ソコドベール広場を出て、タホ川沿いを走り、展望台「ミラドール・デル・バジェ」で約5~10分ほど停車し、トレドの街を一周するそうです。
毎時1~2便で、タホ川沿いを右回りで周るため、席は進行方向の右側がお勧めだそうです。

バスから下りて、歩いてトレドの旧市街へと向かいます。

かつて要塞都市であったトレドの城壁が残っています。

旧市街へは、エスカレーターで上っていきます。
エスカレーターを上ると、トレドの新市街が眺められます。

旧市街の石畳の路地を進んでいきます。

建物や壁に囲まれ、迷路のように入り組んだ路地が続きます。

中世の面影を残し、博物館のような街並みです。

建物の壁にユダヤ人街のマークがありました。
1492年にグラナダが陥落して、キリスト教国がイスラム王朝からスペインを奪回する国土回復運動「レコンキスタ」が終了すると、ユダヤ人追放が行われたそうです。

美しい路地を南に進んで「サント・トメ教会」を目指します。
この日は気温が40度を越す猛暑だったので、日陰がありがたいです。

建物の2階のベランダに綺麗な花が飾られていました。

エスカレーター乗り場から20分ほどで「サント・トメ教会」に到着しました。
「サント・トメ教会」は、12世紀にアルフォンソ6世が建造した教会で、14世紀にオルガス伯爵が私財を投じて再建し、教会のシンボル「モサラベの塔」は、イスラムとキリストが融合したムデハル様式で、トレドに残る最も素晴らしいムデハル様式といわれています。
撮影は禁止でしたが、教会内のオルガス伯のお墓の上には、1586年にエル・グレコによって描かれた作品「オルガス伯爵の埋葬」が展示されています。
「オルガス伯爵の埋葬」は、縦4.8メートル、横3.6メートルの巨大な作品で、上下に天界と地上とに別れた構成で、上部には魂の昇天、下部には肉体の埋葬が描がれ、1323年にオルガス伯爵が亡くなった時に天上界からトレドの守護者、聖アウグスティヌスと聖ステファノがあらわれてオルガス伯爵を棺まで運んだという伝説がモチーフになっているそうです。
上部の中央にはイエス・キリスト、その左下には聖母マリア、その右にキリストに洗礼を施した洗礼者ヨハネ、左後方には天国の鍵を持つ12使徒の一人聖ペテロ、洗礼者ヨハネの右後方にも多くの聖者たちが並び、中央には天使に抱かれた赤ん坊がおり、オルガス伯の魂をあらわしているのだそうです。
黒い服を着て並んだトレドの有力者たちの中には、目線が合う人物が2人おり、エル・グレコ自身とエル・グレコの息子、ホルヘ・マヌエル・テオトコプーロスといわれているそうです。
エル・グレコの絵は、人体が引き伸ばされたような表現が特徴的なルネッサンス後期のマニエリスム式で、エル・グレコというのは「ギリシャ人」という意味の愛称だったそうで、本名はドメニコス・テオトコプーロスというそうです。

「サント・トメ教会」の裏には、十字架に磔にされるキリストの像がありました。

スペインゴシック様式最高傑作ともいわれるカテドラル「トレド大聖堂」

「サント・トメ教会」でエル・グレコの「オルガス伯爵の埋葬」を見た後に、トレドのもう一つの見どころでもある「トレド大聖堂」へと向かいました。

サント・トメ教会の裏のアンヘル通りに、ホステル「サント・トメ」がありました。

隣には洋菓子店「サント・トメ」があり、ショーウィンドウにはトレドの伝統菓子「マサパン」などが並んでいます。

「Almacen 51」というレストランのある路地には、飾りが施してあり、美しい街並みです。

路地の隙間からカテドラル「トレド大聖堂」が見えました。

トレド大聖堂の正面、アユンタミエント広場に着きました。
トレド大聖堂は、フェルナンド3世の命により1226年に着工し、約270年もの歳月をかけて1493年に完成したゴシック様式の大聖堂で、バチカンのサンピエトロ大聖堂、イギリスのセントポール大聖堂、スペインのセビリア大聖堂に次ぐ大きさだそうです。

左手にはアルソビスパル宮殿(大司教宮殿)があります。
正面玄関は半円形のアーチで、4本の柱が左右2本ずつ設置され、上部には枢機卿の紋章とそれを示す女神像が2体ずつ左右に飾られています。

トレド大聖堂の正面ファサードには、繊細な彫刻が施された3つの扉があり、左から「地獄の扉」「免罪の扉」「裁きの扉」と言い、この他にも大聖堂の南側には「獅子の扉」、北側には「大時計の扉」という扉があるそうです。
「免罪の門」は通常閉じられており、大司教や一国の元首を迎え入れる時のみ扉が開き、門の上には18世紀に造られた「最後の晩餐」のキリストと12使徒の像が並んでいます。
ファサードの左側にはフランボワイヤン・ゴシック様式の高さ90mの鐘楼が立っており、右側にはゴシック・ルネサンス様式のドーム型の塔が立っています。
トレド大聖堂の内部は、総大理石の床や、750枚のステンドグラス、金色に装飾されたパイプオルガンなど、絢爛豪華で、エル・グレコの初期の傑作「聖衣剥奪」や「十二使徒」など名作も展示されているそうです!

ファサード前には、ルネサンス様式のトレド市庁舎があり、エル・グレコの息子で建築家となったホルヘ・マヌエル・テオトコプリが設計したそうです。

トレド大聖堂の南側のカルデナル・シスネロス通りには、綺麗な装飾がされています。

通りの上に布が屋根のように張られています。

建物の壁には花など鮮やかな装飾が飾られ、とても綺麗です。

1856年創業の老舗「サント・トメ」の伝統菓子「マサパン」

サント・トメ教会の近くにあった洋菓子店「サント・トメ」まで戻って、アーモンドと砂糖を混ぜて作るトレドの伝統菓子「マサパン」を求めに行きました。

サント・トメ通りまで戻ってくると「El Cafe de las Monjas」というカフェがありました。
ホットチョコとチェロスのセットなどがあり、マサパンなどの販売も行なっています。

カフェを通り過ぎ、サント・トメ通りを西に進むと、サント・トメ教会のシンボル「モサラベの塔」が見えます。

洋菓子店「サント・トメ」に着きました。

「サント・トメ」は、1856年創業の老舗店で、各種マジパンがあり、昔ながらの製法で造られてます。
アーモンド、砂糖、蜂蜜などを組み合わせた製品は、何世紀も前から地中海の美食文化の一部で、スペインでは、東洋料理の影響を受けて拡大したそうです。

マジパンとアーモンドと砂糖で出来た「マサパン」の他、マジパンをアーモンドで覆った「PASTAS IMPERIALES」や、マジパンと松の実で出来た「PASTAS DE PIÑÓN」などもあります。
マサパンは、修道院で作っていたという歴史があり、古くから親しまれているようです。

マサパンを購入すると、白とピンクの可愛い紙袋に入れてくれました。

トレド大聖堂を経由して、旧市街の入口であるエスカレーターを目指して戻っていきます。
中世にタイムスリップしたかのような美しい路地です。

建物のベランダから紋章のようなものが描かれたワインレッドの旗が垂れ下げられ、祝祭のような雰囲気の通りです。

帰り道に綺麗な修道院を見つけました。
「Convento de la Purísima Concepción」という修道院のようで、中央に微笑んだマリア様の像があります。

「Taberna Rayuela」の白身魚のムニエル

トレドを散策した後は、マドリードに戻り、「Taberna Rayuela」というレストランで白身魚のムニエルをいただきました。

マドリードの王宮の近くにある「Taberna Rayuela」に来ました。

スペイン語でメニューが書いてあります。
「マグロのたたき」、「イベリコ豚」、「自家製パテ」、タコを用いたスペイン・ガリシア州の伝統料理「ポルボ・ア・フェイラ」などがあるようです。

まずはサラダをいただきました。
グリーンサラダに、トマト、チーズが乗って、ドレッシングもかけられています。

メインの白身魚のムニエルが来ました。
白、緑、黒の3色のソースが美しく添えられています。

デザートにティラミスもいただきました。

おわりに

古都「トレド」は、三方をタホ川に囲まれ、中世の面影が残る美しい街でした。
旧市街は街全域が世界遺産に指定されており、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教の文化が入り混じった建築物が並ぶ街並みは素晴らしく、展望台から眺める旧市街も絶景でした。
「サント・トメ教会」では、スペインを代表する画家エル・グレコの傑作「オルガス伯の埋葬」を見ることができ、魂の昇天と肉体の埋葬が描がれた壮大な作品に引き込まれました。
スペインにあるカトリック総本山でもある「トレド大聖堂」は、フランスゴシック様式とムデハル様式が入り混じる美しいカテドラルでした。
スペインの古都「トレド」で、旧市街の情緒ある街並みを散策して、中世ヨーロッパにタイムスリップした気分を味わってみてはいかがでしょうか。

information

サント・トメ教会

住所
Plaza del Conde, 4, 45002 Toledo, Spain (GoogleMap)
アクセス
国鉄レンフェ「トレド(Toledo)駅」よりバスで約10分「ソコドベル(Zocodover)」下車、徒歩約10分
営業時間
【3/1〜10/15】10:00~18:45
【10/16〜2/28】10:00~17:45
12/24・31は~13:00
休業日
1月1日、12月25日
入場料
3ユーロ
公式HP
https://toledomonumental.com/santo-tome
トレド大聖堂

住所
Calle Cardenal Cisneros, 1, 45002 Toledo, Spain (GoogleMap)
アクセス
国鉄レンフェ「トレド(Toledo)駅」よりバスで約10分「ソコドベル(Zocodover)」下車、徒歩約5分
営業時間
【月曜~土曜】10:00~18:30
【日曜・祝祭日】14:00~18:30
休業日
1月1日、12月25日
入場料
10ユーロ
公式HP
http://www.catedralprimada.es/
サント・トメ

住所
Calle Santo Tome, 3, 45002 Toledo, Spain (GoogleMap)
アクセス
国鉄レンフェ「トレド(Toledo)駅」よりバスで約10分「ソコドベル(Zocodover)」下車、徒歩約10分
営業時間
9:00~21:00
休業日
1月1日、12月25日
公式HP
http://mazapan.com/
Taberna Rayuela

住所
Calle de la Moreria, 8, 28005 Madrid, Spain (GoogleMap)
アクセス
地下鉄5号線「ラ・ラティナ(La Latina)駅」より徒歩約7分
営業時間
【月曜~木曜】13:00~16:00、20:00~23:30
【金曜】13:00~16:00、20:00~0:00
【土曜】13:00~0:00
【日曜】13:00~23:30
定休日
なし
公式HP
http://www.tabernarayuela.com/
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