「法然院」は、東山山麓の山裾に佇む法然上人ゆかりの寺院です。
正式名称を「善気山萬無教寺」といい、西には哲学の道が続いており、北へ行けば銀閣寺、南へ行けば南禅寺と観光名所に挟まれた場所に位置します。
東山の森が見事な秋色に染まる紅葉の時期には、境内へとつながる茅葺屋根の山門に覆いかぶさるかのような紅葉が美しく、山門を入ったところには、両側に白い盛り砂がある白砂壇があり、椛や銀杏の葉っぱが描かれます。
今回はそんな「法然院」におでかけしてきました!
茅葺屋根の山門と紅葉の葉が描かれた白砂壇が美しい「法然院」
「法然院」は、左京区鹿ヶ谷の山間エリアに位置する寺院で、法然上人が弟子の住蓮、安楽と六時礼讃を勤めた旧跡を1680年に知恩院第三十八世万無心阿上人と弟子・忍微が中興したそうです。
本堂には、本尊阿弥陀如来坐像を初めとして、観音・勢至両菩薩像、法然上人立像、萬無和尚坐像などが安置されており、方丈庭園には、名水として有名な清泉「善気水」が絶えることなく湧き出ているそうです。
朝から夕方の拝観時間内は自由に境内参観が可能ですが、本堂等の建物内は通常非公開のため、春と秋の年2回、それぞれ1週間だけ、建物内の有料一般公開が行われています。
「安楽寺」の北にある「法然院」の参道に来ました。
「歴史的風土特別保存地区」と書かれた石碑があります。
「法然院」の説明板がありました。
善気山萬無教寺と号する浄土宗系の単立寺院だそうです。
鎌倉時代の初め、法然上人が弟子の住蓮、安楽とともに、阿弥陀仏を昼夜に六回拝む六時礼讃を勤めた草庵で、寛永年間(1624〜1644年)ほとんど廃絶していたが、延宝八年(1680年)に知恩院の第三十八世萬無心阿上人と弟子の忍澂和尚が念仏道場として再興したそうです。
本堂には、恵心僧都作の阿弥陀如来坐像と法然上人自作木像を安置し、直壇には毎朝二十五の生花が散華され、方丈は、桃山御陵の遺物を移建したものといわれ、襖絵十四面の「桐に竹図」「若松図」「槇に海棠図」及び屏風の雪松図はいずれも重要文化財に指定されているそうです。
参道に散る椿が名景として知られており、境内には、谷崎潤一郎、九鬼周造、河上肇ら多くの文化人の墓があるそうです。
「圓光大師御舊跡」と刻まれた石碑もあります。
石段を上っていきます。
門のようなところを入ります。
高い木に囲まれた参道を進んでいきます。
うっすらと紅葉も見られます。
茅葺屋根の山門がありました。
「不許葷辛酒肉入山門」と刻まれた石碑もあります。
ニラやニンニクなどの臭く辛い野菜や、肉などなまぐさものを食べたもの、酒を飲んだものは、山門に入るのを禁止するという意味だそうです。
茅葺屋根の山門には、緑色の苔がうっすらと覆っていて良い雰囲気です。
山門の上には、色彩豊かな紅葉が見え、とても綺麗です。
山門をくぐると美しい白砂壇が2つありました。
白砂壇は、白い盛り砂で水を表わしており、この間を通ることは心身を清めることになるそうです。
縦7m、横3mの白い盛り砂にもみじの葉っぱが描かれています。
白砂壇の間を通り抜けて来ました。
茅葺屋根の山門と紅葉がとても美しいです。
白砂壇の近くにある講堂は、かつては大浴室だったそうで、現在ではコンサートや個展、講演会などが開催されているそうです。
白砂壇の近くには池があります。
池の源水は有名な名水でもある「善気水」が湧き出たものだそうです。
池には散りもみじが浮かび、大きな鯉も泳いでいました。
水鉢から「善気水」が湧き出てきています。
菊のような花が飾ってあり、綺麗です。
山門から左の奥の方に行くと、大きな「十一重石塔」がありました。
「十一重石塔」の周りにはイチョウの葉がたくさん落ちて、黄色に染まっています。
本堂の前には苔が広がり、庭園のような趣です。
池の先には、本堂や方丈への参道が続いています。
参道を進んで、本堂の前に来ました。
公開期間ではないので中には入れませんが、縁側から本尊阿弥陀如来像を参拝できます。
本堂の奥にある方丈では、桃山時代の絵師・狩野光信と現代の日本画家・堂本印象の襖絵を鑑賞でき、狩野光信の襖絵は国の重要文化財にも指定されている名品だそうです。
上を見上げるとオレンジ色の紅葉が綺麗です。
本堂の前の参道を挟んだところの石段上には、地蔵菩薩像があります。
1690年(元禄34年)、忍澂和尚が46歳の時に自身と等身大の地蔵菩薩像を鋳造させ、安置されたものだそうです。
参道を戻り、池の辺りに戻って来ました。
池の横に「経蔵」が見えます。
1737年(元文2年)の建立で、中央に釈迦如来像、両脇に毘沙門天像と韋駄天像を安置しており、多数の経典の版木を所蔵しているそうです。
苔むした茅葺屋根の山門をくぐって外に出ます。
苔むした中に飛び石があり、風情があります。
飛び石の上に立方体の形をした石がプレゼント箱のように置いてあります。
法然院のすぐ近くにある公園の紅葉も綺麗でした。
おわりに
「法然院」は、苔が覆う茅葺屋根の山門と色彩豊かな紅葉の競演が美しいお寺でした。
山門をくぐると、丁寧に整えられた白砂壇にもみじの葉が描かれ、鬱蒼と生い茂った木々に囲まれた緑美しい境内に降りかかる紅葉も綺麗で、風情のある景観でした。
本堂北の中庭には三銘椿(五色散り椿・貴椿・花笠椿)が植えられている椿の庭があり、3月下旬から4月上旬の開花時期には賑わいを見せる椿の名所でもあるそうです。
「安楽寺」の緑美しい境内で、茅葺屋根の山門と白砂壇に降りかかる色彩豊かな紅葉を愛でながら、寺を取り囲む静謐な雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。
information
善気山 法然院
- 住所
- 京都府京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地 (GoogleMap)
- アクセス
- 阪急「四条河原町」駅より市バス32系統「銀閣寺前」行き「南田町」下車、徒歩約5分
JR「京都」駅・京阪「三条」駅より市バス5系統「統岩倉」行き「浄土寺」下車、徒歩約10分 - 拝観時間
- 6:00~16:00
(方丈庭園や方丈の襖絵、中庭の三銘椿等の拝観は、4月1日〜7日と11月1日〜7日の伽藍内特別公開の期間のみ) - 拝観料金
- 無料(伽藍内特別公開の期間中、伽藍内の拝観は有料)
- 公式HP
- http://www.honen-in.jp/