「武甲山」は、埼玉県秩父にある標高1,304mの山です。
奥武蔵・秩父の主峰で二百名山の一つでもあり、ピラミッド型をした姿の美しい山で、山頂からは秩父盆地の素晴らしい景色が一望できます。
山頂には御嶽神社が鎮座し、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)がその雄々しい山容に惹かれて登られ、武具・甲冑を納めたという伝説も残っており、武甲山という名前の由来となっているそうです。
今回はそんな「武甲山」におでかけしてきました!
表参道コースで「武甲山」登山スタート
「武甲山」は、秩父盆地に聳える山で、都心からわずか2時間とアクセスも良く、初心者でも安心して登ることができます。
3億年前のサンゴ礁が地殻変動で移動隆起してできた山で、良質な石灰岩が採れるため、日本屈指の採掘場にもなっています。
登山口は、横瀬方面の一の鳥居がある生川基点と、浦山口の2つあり、今回は一の鳥居がある生川基点からスタートする表参道コースで登りました。
狛犬が4体鎮座する「生川一の鳥居」に来ました。
最寄りの横瀬駅からは、徒歩だと塗装路を1時間30分歩くことになるので、タクシーか車で来るのがおすすめです。
一の鳥居には、車が30台ほど停められる駐車場があります。
新緑と清々しい青空が気持ちいいです。
「武甲山登山道」の案内板がありました。
表参道コースと妻坂峠・大持山経由コースが書かれています。
表参道コースの標準コースタイムは、山頂まで2時間10分で、妻坂峠・大持山経由コース(健脚向け)の標準コースタイムは、山頂まで4時間50分だそうです。
山頂からは、横瀬町や秩父市内の一望はもちろんのこと、両神山、浅間山、日光、赤城山、筑波山などが見えるそうです。
一の鳥居をくぐって歩いていきます。
「登山道(武甲山)」と書かれた案内板があります。
生川のせせらぎが見えます。
木漏れ日の気持ちいい緩やかな坂を登っていきます。
「武甲山」と「持山寺跡・シラジクボ」方面の分岐に来ました。
「持山入口」と刻まれた石碑もあります。
登りは表参道コースなので、まっすぐ「武甲山」方面に進みます。
下りは左手の持山寺跡コースから戻ってくる予定です。
生川の綺麗な水が流れています。
林道から登山道に入っていきます。
ここから大杉の広場まで約50分、武甲山山頂まで約1時間40分のようです。
高い木に囲まれた道を進みます。
黄緑色に輝く新緑が綺麗です。
十八丁目の水場に「不動滝」がありました。
斜面をわずかに水が流れています。
水場には柄杓が置いてあり、水をすくえる様になっており、休憩用のベンチもあります。
小さな祠もあります。
「十八丁目の水場」から「大杉の広場」へ
「十八丁目の水場」で冷たい水に触れ、次のポイント「大杉の広場」を目指します。
木製の橋の様なところを進んでいきます。
「武甲山御嶽神社 参道」と書かれた石碑がありました。
新緑がとても綺麗です。
苔生した石の上に小さな祠がありました。
木漏れ日が降り注ぐ斜面を登っていきます。
大きな木の割れ目に小さなお地蔵さんがいました。
赤いハンカチに包まれて、可愛い顔をしています。
「ここまできたね あと60分」と書かれた看板がありました。
目の前には、大きな杉が立っています。
標高1,000mの「大杉の広場」に到着です。
生川基点から1時間ほどでした。
天高く真っ直ぐに延びた立派な杉です。
幹も太く、樹齢は4~500年ほどだそうです。
大杉に木漏れ日が降り注ぎ、神秘的な空間になっています。
大杉の周りはちょっとした広場になっており、休憩用のベンチもあります。
「大杉の広場」から「武甲山御嶽神社」へ
「大杉の広場」で休憩し、武甲山山頂の「武甲山御嶽神社」を目指します。
木々が立ち並ぶ山道を登っていきます。
木の穴の中に小さな観音像のような像がありました。
小さな賽銭箱もあります。
また大きな杉の木がありました。
太い幹が空高くそびえ立っています。
三十五丁目地点に小さなお地蔵さんがいました。
赤い前掛けをしています。
木漏れ日が降り注ぐ新緑の中を進んでいきます。
四十丁目地点に来ました。
木の根が隆起した山道を登っていきます。
「武甲山頂(一般コース)」と書かれた案内板がありました。
石がゴロゴロと転がる山道を進んでいきます。
木々の隙間の向こうには青空が見え、明るい日差しが降り注いでいます。
斜面を山道に沿って九十九折りに登っていきます。
五十丁目地点に来ました。
一の鳥居が一丁目、山頂の御嶽神社が五十二丁目なのでもう少しです。
前方が開けてきました。
もう少しで山頂です。
五十一丁目地点です。
山頂付近の広場に到着しました。
ベンチに座って休憩している人も見えます。
「武甲山御嶽神社」の鳥居がありました。
鳥居の奥に社殿も見えます。
社殿の前には、山犬型の狛犬が2体鎮座してます。
「横瀬駅」の近くには、「武甲山御嶽神社」の里宮があるそうです。
「武甲山山頂」からの素晴らしい眺望
「武甲山山頂」の第一展望台からは、石灰採掘場を眼下に秩父市内を一望することができます。
「武甲山御嶽神社」を右手に進むと、「白鳥神剣神社」がありました。
青紫色の「フデリンドウ」の花が咲いています。
小さな鐘楼がありました。
さらに登っていくと第一展望台への案内板がありました。
柵越しに秩父の山々の景色が見えます。
案内に沿って第一展望台の方へ進みます。
「第一展望所」と書かれた看板の前まで来ました。
緩やかな山道を少しだけ登ります。
武甲山山頂に到着しました。
生川一の鳥居から2時間ほどで、大杉の広場からは1時間ほどでした。
展望方位盤もあります。
武甲山の標高は1,304mです。
生川一の鳥居が518mなので、高さ800mほど登ったことになります。
眼下には、秩父平野の素晴らしい景色が広がっています。
羊山公園の芝桜のピンク色もわずかに見えます。
芝桜の見頃は4月下旬~5月上旬だそうです。
右手の方には、石灰採掘工場も見えます。
武甲山は、高純度の石灰石を豊富に埋蔵する日本屈指の大鉱床で、石灰原石は、不純物が極めて少なく良質なことで定評があるそうです。
「武甲山御嶽神社」に戻ってきました。
「武甲山」の説明板があります。
武甲山(標高1,304m)は、奥秩父山地より北方へのびる尾根の末端にある独立峰で、山体の北半分を二億年前の石灰岩が占めており、中腹には、石灰岩固有植物で武甲山のみに生育する「チチブイワザクラ」をはじめ、「ブコウマメザクラ」や「ミヤマスカシユリ」などの特異性に富んだ石灰岩植物が自生しているそうです。
また、石灰岩の採掘は、大正時代から始まり、高度経済成長期に増加し、昭和40年頃より休息に山容を変えてきており、昭和56年、関連企業三社による協調採掘が始まり、現在に至っているそうです。
現在、武甲山の山頂には、御嶽神社が鎮座していますが、古くは平安・鎌倉時代まで遡る痕跡が見いだされ、戦国時代になると蔵王・熊野の両権現をはじめとした社殿や寺院等が建立され、江戸時代には山頂での祭祀が一層盛んになったそうです。
武甲山を祀る民俗行事には、秩父夜祭、御嶽神社里宮の神楽、御田植神事、雨乞い行事など、秩父地方一帯に広くみられるそうです。
なお、武甲山の山開きは、毎年5月1日に行われているそうです。
山頂付近の広場のベンチに座って昼食にしました。
空気の綺麗な山頂広場でゆっくりと休みました。
シラジクボ経由の持山寺跡コースで「武甲山」を下山
下りは、登りと少し違ったシラジクボ方面の持山寺跡コースを通って下ります。
「シラジクボ・小持山・大持山、浦山口登山道」方面に下山していきます。
「山頂下十字路」に来ました。
ここを右手の方へ行くと浦山口登山道です。
シラジクボ・小持山・大持山方面なので真っ直ぐ進みます。
シラジクボまではここから25分のようです。
新緑の木々の向こうに山々が見えます。
「武甲山登山コース略図」もあります。
その下には「発破のお知らせ」があり、武甲鉱山採掘場で9:30、12:30、17:00の時刻に発破を行うことがあるそうです。
発破を行う際には、点火10分前にサイレンを3回吹鳴し放送で退避を呼びかけ、点火5分前に再度放送にて退避を呼びかけ、点火直前にサイレンを2回吹鳴し、発破終了後サイレンを1回吹鳴し放送で警戒解除をお知らせするそうです。
シラジクボ・小持山・大持山方面に向かって下りていきます。
急な斜面を進みます。
新緑のカラマツ林が美しいです。
地面には、大きな葉の「バイケイソウ」の群生が見られます。
前方には標高1,273mの小持山が見えます。
急な斜面を一気に下ってきました。
尾根道なので景色がいいです。
右手にはカラマツ林の斜面が広がっています。
バイケイソウの茂る細い山道を進んでいきます。
急な斜面に新緑の木のトンネルがありました。
シラジクボ(標高1,088m)に着きました。
山頂から30分ほどでした。
ここから急な登り坂を50分進むと小持山に行けます。
今回は左手の持山寺跡方面へ進みます。
シラジクボを経て「持山寺跡」に寄り道
シラジクボの分岐を左手に進んで「阿弥陀山念仏寺」の廃寺跡「持山寺跡」を目指します。
シラジクボの分岐を真っ直ぐ進むと小持山で、左の坂を下りていくと「持山寺跡」へ行きます。
斜面を横に進んでいきます。
持山寺跡、生川基点の案内がありました。
細い山道を歩いていきます。
少し開けた所に出ました。
「持山寺跡」と書かれた古い案内板があります。
「南無阿弥陀佛」と刻まれた石碑もありました。
「持山寺跡」に到着しました。
シラジクボから25分ほどでした。
「持山寺跡(町指定史跡)」の説明板があります。
持山寺跡は「阿弥陀山念仏寺」の廃寺と伝えられ、武甲山から続く小持山の山腹、標高約900mのところにあり、周辺には竹林、滝、池跡、入定場、宝篋印塔(供養塔)などが現存しているそうです。
この持山寺には長七郎伝説が残されており、松平長七郎は、駿河大納言・徳川忠長(徳川三代将軍家光の弟)の子で、忠長は寛永10年(1633)に切腹させられており、この時、家臣に長七郎長頼の行末をたのんで死んだそうです。
秩父に伝わる口伝では、秩父を点々と歩き、終の住処としたのがこの持山で、ここで小庵を営み、祖圓和尚を名乗り、最後には大鎌を首にまいて念仏往生をとげたそうです。
下男に「この念仏が聞こえなくなったら、この紐を力一杯引いてくれ」と言い残し、石室に入り念仏を三日三晩唱え続け、四日目、恐ろしくなった下男は紐を引いてしまい、念仏がハタとやみ、同時に一羽の白い小鳥が、「カキット、カキット」と鳴きながら飛び出して行ったそうです。
「持山寺跡(町指定史跡)」と書かれた案内板が立っています。
案内板の上には、黄色、赤色、緑色のもみじの葉のオブジェがあります。
その奥には、嘉永7年(1854年)に鎌屋籐兵衛の供養のため下影森の人たちが建立した宝篋印塔もあります。
「生川一の鳥居」へ戻って「武甲山」登山ゴール
「持山寺跡」から表参道コースに合流して、スタート地点の「生川一の鳥居」を目指します。
「持山寺跡」から元のハイキングコースに戻ります。
案内板の生川基点を目指して進んでいきます。
細いハンキングコースを下っていきます。
杉の木が立ち並んでいます。
転がり落ちないように木の枝で支えられた大きな石がありました。
生川に架かる小さな橋が見えました。
小さな橋を渡ります。
登りの時に通った表参道コースに合流しました。
綺麗な黄色いヤマブキの花が咲いています。
林道を進み、マス釣り場の間を通っていきます。
可愛い鳥のオブジェがありました。
Cafe&Shop「LOGMOG 」です。
壁の黒い板が黒板のようになっており、壁一面にチョークでいろいろ書かれています。
武甲山をイメージしたオリジナルブレンドコーヒーや、鹿肉とろけるブリトーなどをいただけるそうです。
お店の前にはヤギの姿も見えました。
「生川一の鳥居」駐車場に着きました。
駐車場の先に一の鳥居も見えます。
「持山寺跡」からは50分ほどで、山頂からは休憩も挟んで1時間55分ほどでした。
おわりに
「武甲山」は、秩父盆地を見下ろすように聳える名峰でした。
登りは、横瀬町側の登山口となる生川一の鳥居から表参道コースを登り、樹齢4〜500年といわれる大杉の木があり、自然の神秘を感じることができました。
山頂には武甲山御嶽神社があり、展望台からは秩父平野の素晴らしい眺望が広がっていました。
下りは、シラジクボを経由する持山寺跡コースを下り、カラマツやバイケイソウの新緑の景色を楽しむことができました。
秩父盆地に聳え立つ名峰「武甲山」を登って、秩父平野の素晴らしい景色を眺めてみてはいかがでしょうか。
information
武甲山
- 住所(生川一の鳥居)
- 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬8582 (GoogleMap)
- アクセス(生川一の鳥居)
- 西武鉄道「横瀬駅」より徒歩約1時間30分(タクシー20分)
- 登山コース
- 【登り】生川一の鳥居(30分)十八丁目の水場(30分)大杉の広場(60分)武甲山山頂・御嶽神社
【下り】武甲山山頂・御嶽神社(30分)シラジクボ(25分)持山寺跡(50分)一の鳥居 - コースタイム
- 【合計】3時間45分※休憩時間含まず
【登り】2時間
【下り】1時間45分 - 標高
- 1,304m
- 公式HP
- http://www.yokoze.org/shisetsu/bukozan/
武甲山御嶽神社
- 住所
- 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬 (GoogleMap)
- アクセス
- 西武鉄道「横瀬駅」より登山口まで徒歩約1時間30分(タクシー20分)、登山道を徒歩約2時間20分
- HP
- https://yaokami.jp/1111796/